障害者権利条約の政府訳に異論あ り



関根です。国連の障害者権利条約の、日本政府の訳が、どうも納得できません。
(重複して受け取られた方もあったら申し訳ありません)

1、ICTの訳が「情報通信機器」になっています。日本のIT戦略本部でも
どの省に行っても、あきらかにこれは「情報通信技術」のはずです。
ソフトウェアやコンテンツ、ネット上のサービスなどを含めることが
できず、ハードだけが対象になるのは、絶対避けるべきです。

2、ATの訳も「支援機器」になっています。これも1990年ごろから
「支援技術」と訳されるのが普通です。ハードに加えて、ソフト、
サービスが揃ってこその「技術」です。たとえばDAISYも、
機器だけでなく、ソフトやコンテンツがあって初めて役に立ちます。

3、アクセス、アクセシビリティといった言葉が全部置き換えられています。
インターネットにアクセスする、という一般的な言葉は、そのまま
残すべきです。「利用する機会を有する」などに置き換わっていますが、
本来は当事者が主体的にアクセスする権利を定めたもので、誰かに
与えられるものではないはずです。「アクセシビリティ」も同様です。
なぜか「利用のしやすさ」になっていますが、それは「ユーザビリティ」で
あって、せめて最初の「利用可能性」にすべきでは??
今回、ユニバーサルデザインはそのまま残ったのに、アクセスが
消えたのは大変残念です。海外ではあまりにも一般的な用語であるため
大量に使われすぎていて、却って消されてしまいました。

国連の本文はこの下のPDFです。大変格調の高い文章です。
http://www.un.org/disabilities/documents/convention/convoptprot-e.pdf
アクセシビリティに関してはhtmlではここをご覧になってください。
http://www.un.org/disabilities/default.asp?id=269
東大の長瀬さんたちが最初に訳したものはこちらです。
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/30May2008CRPDtranslation_into_Japanese.html
政府公定訳はこちらです。最初の外務省訳よりかなり後退しています。
http://www.tani-hiroyuki.com/shogaijoyaku090303.html

なんとか、この3点を修正したいのですが、どうやら政府は、
いまの公定訳で押し切ってしまいそうな気配です。なんとか、当事者からの
声を上げていきたいので、みなさんの協力が必要です。
しかし、私も、どう動けば一番効果的なのか、まだよくわかっていません。

みなさん、力を貸してください。まずはご意見ください。
よろしくお願いいたします。