X8341-3の第6章「全般的要件 」について



web@xxxxxxxxxxxxxxxxxの皆様 

NTTデータの矢沢と申します。

先日、私も聴講させていただいた31日の研究会以来、napや
本メーリングリストが活発な議論をしているのにひかれて、
えいやっと発言させていただこうかと思います。
#新規スレッドですが、ご容赦ください

#なお、会社の名前を背負った代表としてではなく、システム
#開発に携わる一技術者としてコメントさせてください。

> -----Original Message-----
> From: Eiichi ITO
> Sent: Friday, August 13, 2004 9:39 AM
> Subject: Re: 認識障碍
> 
> 伊藤@長野大学 です。
<中略します>
> 利用者には何が必要で、どのような対応が求められているのか、利用者個々への
> 直接的な支援を積み上げる事が必要なのだと思います。もちろん、時間や手間は
> 膨大にかかります。しかし、その積み上げがなければ、いつまで経っても仮定する
> 利用者のためのシステム開発、あるいは声の大きい利用者、システムに精通した
> 利用者のためのシステム開発から脱却できないのではないかと思います。

上記メールにて伊藤さんからも厳しいご指摘を頂いたとおり、
今まで、システム開発者側やSE側の論理で作られたシステムが、
大手を振ってまかり通っている事実は少なからずあると思って
います。

しかし、数多くなくとも、何人かの開発者は、
”ユーザの声をフィードバックするうちに”だったり、
”JISをきっかけに”したりして、
開発者側がこれまでのスタンスを再検討し、いかにすべての
利用者にとって、使えて、使いやすいシステムが作れるか
ということに腐心している最中だと思っています(というより
「そう信じています」)。

ところで、「利用者の声を反映させること」については
JIS X8341-3の第6章に記述されています。

---JIS抜粋---
6.4 フィードバックに関する要件
「ウェブコンテンツの企画・製作を行なう者は、利用者の意見を
収集する窓口を用意し、利用者からの意見をウェブコンテンツの
情報アクセシビリティの確保・向上に活かさなければならない。」
------

しかし、発注者側と開発者側の意志(マインドでもポリシーでも
スタンスでもなんでも)疎通やコスト対効果などのすり合わせを
する際に、アクセシビリティをどうやって考慮し、取り込んでいくか
ということが、あまり明確に書かれていません。

---JIS抜粋---
6.1 企画・製作に関する要件の参考欄
「企画段階から方針をもって情報アクセシビリティを考慮して
おかなければ、(略)」
------
疑問:「方針」って何?、どんな方針?

---JIS抜粋---
6.2 保守及び運用に関する要件
「ウェブコンテンツを保守及び運用するときは、情報アクセシビリティの
品質を確保し、向上させなけばならない。」
------
疑問:「品質」ってどのレベルまで確保するの?

---JIS抜粋---
6.3 検証に関する要件
「ウェブコンテンツを企画・製作を行なう者は、ウェブコンテンツが
この規格の要件を満たしていることを検証しなければならない。」

およびその参考欄
「各検証方法は、いずれも万能ではないため、(略)
複数の検証方法を組み合わせて使用することが有効である」
------
疑問:「X8341-3の示す要件」って本当に厳密に検証できるの?
しかも、複数の検証方法って、どれが正しくて、どこまで使えば
有効さが確保できるの?

などなど、技術者が読むべきガイドラインとしては、いささか
物足りない部分が多いように思います。

まだまだ不勉強ですが、ISO13407にはこうした開発プロセスについて、
もう少し詳しく、どこのタイミングで、何を、どうすべきかが
書かれていたように思います。
(内容を深く読み込んでいないため、間違った捉え方をしていれば
ご指摘ください)

そこでこの際、「開発プロセス」についても議論できないでしょうか?
発注者側、開発者、利用者それぞれが何を意識していなければ
ならないのか?についても、もっと深い議論をしていければ、、、
と思っています。
(先日の研究会では、あのスケジュールでは、さすがに議題提起
できませんでした)

このような議論が、JISX8341-3の改善だけではなく、
アクセシビリティJISが目指す、真の目的に近づくために有効な
議論になると思うのですが、、、。

長文になりましたので、私の意見は別メールにするとして、
ひとまず議題提供というか、「私にも言わせて」という感じで
書かせてもらいました。


追記:
認知障害に関連して。

個人的に、LDやADHD、高機能自閉症など発達障害と呼ばれる課題を
抱えた子供たちと接する機会が多いのですが、本当に、「目からうろこ」
というか、新しい気づきを与えてくれることがたくさんあります。

情報取得時の視覚優位性や、原因と結果の間のプロセスをなるべく
分かりやすく細かく説明する必要性、必要のない雑多な情報を省く
必要性などなど、、、。

認知関連の話題など、個人的な関わりから今の仕事に関連する部分に
結びつくとは思わなかったので結構意外でした。

でも、そうした子供たちと関わって、いつも思うのは
「なーんだ、結局、みんな一緒じゃん」
ということです。

誰でも、わかんないこともたくさんあるし、できないこともある。
でも、できることもある。勝つことも負けることもある。
一緒に遊ぶことも、笑うことも、怒ることもできる。

そんな、わりと単純なことに気が付くのに時間がかかってしまう
私も、どっか変なのかな、といつも思います。

以上、長々と失礼しました。


<以下署名>--------------------------------------------
株式会社NTTデータ ビジネス開発事業本部
システム方式技術ビジネスユニット 第一技術統括部
第一システム方式技術担当
矢沢貞夫(Yazawa Sadao)