Re: 製品開発について
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- Subject: Re: 製品開発について
- From: Masafumi NAKANE <max@xxxxxxxxxx>
- Cc: max@xxxxxxxxxx
- Date: Sat, 13 Mar 1999 05:38:40 +0900
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中根です。
アクセシビリティの高い製品の開発に関する一連のみなさんのご意見を読み
ながら、 NAPがやるべきことは何かというような点を中心に、私の考えを書い
てみます。 (本当はいろいろとみなさんのご意見を引用して書こうと思いまし
たが、長くなるのと、引用が前後してしまいそうなのと、なによりめんどうな
ので止めました。 (^^;; )
さて、まずアクセシビリティに配慮した製品開発の現状について、実際に開
発に関わっている方のご意見がありました。私自身は開発に関わっている訳で
はないので、正しい現状認識をしている訳ではないと思いますが、これらの意
見での指摘は、およそ私が感じていたことと同じでした。
これまでに書かれたことの繰り返しになりますが、私が最も大きな問題だと
感じている点は、
1. 製品評価の段階で、適切な人からの評価を得られないことが多い。
2. 各社が各々研究・開発を進めているため、全体としてアクセシビリティの
向上に結びつかない。
他にもいろいろとあると思いますが、 NAPとして取り組んでいける/行くべ
き点は、主にこの2点ではないかと感じています。
では、具体的に何をどうするのがいいのかということになります。簡単に言っ
てしまえば、アクセシビリティの客観的評価基準の策定と、アクセシビリティ
の高い製品開発のためのガイドライン (ガイドラインというよりはもっと具体
的なものが必要だと思いますが) の策定ということになると思います。
これらはいずれも、NAPのような形の集団だからこそできることのように感
じています。
技術的な背景を持たない障害者団体の偉い人に聞いて失敗する代わりに、
NAPの評価基準を使う (または NAPが評価する) ことで、アクセシビリティが
向上するような状況を作りたいと思っています。また、上ではガイドラインと
いう言い方をしていますが、より具体的には、どのようなニーズがあって、そ
れらがそれぞれどの程度重要なのかという情報を提示して行くことができるよ
うになることが必要だと感じています。
というのが、 NAPについて私が考えていることです。また、 NAP設立準備の
段階で、スタッフの間で出された意見も、およそこのような感じだったと記憶
しています。
それで、個人的に感じていることは、結局どうがんばっても総てのユーザを
満足させることのできる製品開発は大変困難なので、必要に応じたシステムの
拡張が容易にできるような設計に力を注いでもらえるようになると状況は改善
するのではないかということです。
ソフトウェア (OSも含みます) の世界、特に UNIXの世界では、なんでもか
んでもモジュールにして、必要な機能は簡単に新たなモジュールをもってきて
ロードするだけで利用できるようになるという形が多く見られると思いますが、
この考え方をハードウェアも含めていろいろなシステムが取り入れてくれるこ
とで、サードパーティーによる製品開発も活発になると思います。そして、こ
の時にアクセシビリティに大きな影響を与える機能が何かを見極めて、その部
分がモジュールによって簡単に変更できるような構造があれば、アクセシビリ
ティの高い製品開発におけるシステム開発者の負担も軽減されるでしょうし、
またより実用的なシステムとなるのではないかと思います。
おそらく問題なのは、「アクセシビリティに大きな影響を与えるもの」が何
かが明確ではない点なのではないでしょうか。また、特定の機能はモジュール
部分ではなく、コア部分で実現しておかないと問題になるというような場合も
あると思いますが、このあたりも必ずしも明確でない点も問題だと思います。
と、とりあえず書いてみたものの、なんだか書き忘れていることがあるよう
な気がします。が、ちょっと時間がないので今日はこのへんで。
なお、今日からしばらくの間留守にします。来週の火曜からは CSUN (*1)
に出席しますので、もし興味のあるセッションや展示などある方がいれば、お
知らせいただければ可能な範囲で見てこようと思いますのでご連絡ください。
また、 4月の半ばに行う予定の勉強会の際には、 CSUN の報告も簡単にできれ
ばと思っています。
*1 <URL: http://www.csun.edu/cod/conf99/>
中根雅文