RE: 製品開発について
- To: nap@xxxxxxxxxxxxxxxxx
- Subject: RE: 製品開発について
- From: 池田 敬一 <NAD00322@xxxxxxxxxxx>
- Date: Thu, 11 Mar 1999 12:50:06 +0900
- X-mail-count: 00115
みなさん こんにちは
富士通東北海道の池田です。
若林@横須賀市さん
>作る側から見て、どのようなものがあれば容易にアクセシビリティを
>考慮した製品を開発できるのか考えてみました。
内容拝見しました。
製品の設計、開発における各フェーズで
ユーザーの意見を採り入れ、レビューしながら作業を進めていくべきと言うのは
アクセシビリティ製品に限らず、あらゆる製品にとって言えることですよね。
アクセシビリティ製品に関しても、これははるか以前から言われ続けて来た
ことなんですが、現実にはそれほど盛んには行われて来ませんでした。
また、考慮しなければならない点は、設計・開発段階で障害者を入れてレビューして
来た製品でも市場に受け入れられたと言う事例が極めて少ないと言うことです。
ようするに、障害者も入れて検討しましたと言うプロジェクトでも
その障害者が客観的にものを見て評価できるか、あるいは
主観的な意見でものを言うかによって製品の質や方向性は大きく変わってしまいます。
参加してもらう障害者の人選が問題です。
私の経験では、障害者の世界において、広い知識と客観的な視点をもって製品の
評価に当たれるような人材はそれほど多くないように思えます。
それから、現存する製品をどうにかする場合にはともかく、
これから新たに作ろうと言う製品については
ある程度、形になったものを見せていかないと、有効な意見は得られません。
特に素人さんを相手にする場合には
イメージで話を進めるよりも、具体的にもの(ソフトも含め)をいくつか用意して
どのパターンが良いのか、あるいはどのパターンのどこをどうすればよいのかといった
ことをチェックし、複数の人の結果から共通する部分を抽出していく
ような進め方が望ましいと思います。
私はフィールドSEとして個別のユーザーシステムの開発もやって来ましたが
提案、設計、開発の各フェーズで
お客様にもしっかりレビューしてもらい、十分納得していただいた上で
出来上がったシステムでも、実際に動きだして見ると、
なんだかんだと難癖をつけられます。
「あなたの言う通りに作ったものです」と言っても、
「あの時はそう思ったけど、やっぱりこれじゃだめだ」なんて平気で言うのが
お客さんですから、出来上がったものは直せないと言う考えから一歩進めて、
次に作る時に改善策を盛り込めるような柔軟な開発体制(ソフトウエア的)を考えて
いくべきではないかと思っています。
今の商品サイクルからいくと、一つ、二つ出遅れても、すぐに追いつきます。
それと、もう一つ、一般の開発者は「障害者の利用」と言うことになると
ナーバスになりすぎるのではないかとも感じています。
障害者のことはよく判らないから教えて欲しいなんて
しばしば聞いて来る人がいますが
健常者が障害者になることは簡単です。
アイマスクをすれば私と同じ全盲になれますし、
両手を後ろ手に縛ったり、両手に包帯でもぐるぐる巻きにすれば
上肢障害者になれます。
その状態でパソコンやその他の機器に向かって、
自分が目的とする作業ができるかどうか考えてみればいいだけのことです。
健常者が突然アイマスクをした状態でも問題なく使える機器であれば、それは
ほとんどの視覚障害者が使えるものです。
その逆に普段、視覚障害者が問題なく使っている機器をアイマスクをした健常者が
利用する場合には問題が生ずることがあります。
そうした機器や製品は同じ視覚障害者でも
使える人と使えない人が存在することになります。
これからのアクセシビリティは、どんなものを作ればよいのかと言うことだけでなく、
それをどのように流通させるか、誰がどのようにサポートしていくか、
いかにして提供し続けるか、いかにして改良していくかといったことも
含めて考えていかなければならないのではないかと感じています。
それでは また
(株)富士通東北海道システムエンジニアリング
システム部第一システム課
池田敬一
電話 0155-21-6411
NIFTY-ID NAD00322
E-MAIL:ikeda@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx