Re: 【WCAG2.0】音声ガ イドはレベル1?



NTTクラルティ 小高さん

インフォアクシアの植木です、こんにちは。

たしかに、米国では、ヘッドホンで音声ガイドが聞けたり、
アクリル板を装着することでキャプションが見れる映画館が
増えてますよね。

参考までに、ワーキンググループでの議論をご紹介しておくと、
この音声ガイドやキャプションについては、いろいろ議論が
なされました。

現状では、音声ガイドやキャプションを付けるには、時間も
コストもかかるし、それに必要なスキルを身に付けるのも
大変だという意見も当然出ました。私も同様の意見を出した
のですが、最終的には以下の2点から達成基準1として位置づけ
られました。

・視覚障害などで画面を見ることのできない人にとって、
 動画の画面だけでしか伝えられていない情報は、
 情報として存在しないのに等しい。
 (つまり、代替テキストのない画像と同じ考え方です。)
・WCAG 1.0で優先度1としていたので、そのレベルを下げる
 ことはガイドラインとして退化したことになる。

後者はともかく、前者については誰も異論はなく、実際の
現場の状況よりも、その重要性が優先された格好です。
つまり、これはこの達成基準に限ったことではありませんが、
その難易度に国や言語により差異はあれ、たとえ現状では
困難でも時間が経過して技術が進歩すれば、より手軽に実現
できるツールなども出てくるだろう、という考え方です。
もちろん、それによって誰もWCAG 2.0を守ろうとしなくなる、
という可能性も同時にあるわけですが。

ただ、ここでベースラインという考え方が関係してきます。
ベースラインに関する解説文書の事例に出てくるように、
マルチメディア技術をベースラインに含まない場合は、
音声ガイドやキャプションは必須ではなくなります。その
代わりに、何らかの形で代替コンテンツを提供することが
必須となります。

逆に、ベースラインにマルチメディア技術を含める場合は、
その技術で提供している情報がアクセシブルである必要が
出てくるので、音声ガイドやキャプションが必須になる
わけです。その代わり、別のHTML版などの代替コンテンツは
不要となります。

http://www.comm.twcu.ac.jp/~nabe/data/2006/WCAG20LC/WCAG20-ja/baseline/Overview.html#what

とはいえ、小高さんはもちろん、同様のご意見をお持ちの方が
いらっしゃれば、是非ともそのご意見をワーキンググループに
提出していただけたらと思います。

研究会でも議論になったベースラインについては、上記URLに
ある翻訳文書も参考にしていただきつつ、一人でも多くの方に
ご意見をパブリックコメントとしてご提出いただけたらと
思います。

以上、ご参考になれば幸いです。


On Sun, 21 May 2006 04:30:14 +0900
KODAKA  <koda@xxxxxxxxxxxxxxxx> wrote:

> 小高@NTTクラルティです。
> 
> パブコメの締切間近ですが、皆様のご意見をお伺いしたく、
> メールさせていただきました。よろしくお願いします。
> 
> WCAG2.0ラストコール・ワーキングドラフト、ガイドライン1.2では、
> 音声ガイドとキャプションの規定が定められています。
> 特に音声ガイドについて、その普及の度合は国によって様々であり、
> 言葉自体も浸透していない、わが国の状況を鑑みると、
> レベル1から定めてしまっていいのか、やや疑問を持っているのですが、
> 皆様は、どのようにお考えでしょうか。
> 
> アメリカでは、音声ガイドを聞くためのヘッドホン設備を備えた映画館が
> 100館にも及ぶといわれ、話題の映画に当然のごとく音声ガイドが付けられています。
> また、音声ガイド付きのビデオやDVDも、市場に多く出回っている等、
> Understandingにも登場しているWGBHを中心に、広く普及しています。
> 
> これに対し、日本では、NHKの朝の連続テレビ小説をはじめ、テレビでは数番組、
> 複数のボランティア団体や視覚障害者福祉施設が、自主上映会や市民映画祭等で、
> 音声ガイドを提供してきていますが、国内の劇場映画では、
> まだほとんど普及していないというのが実情です。
> 
> 私も、シティライツというボランティア団体で、映画に音声ガイドを付ける活動を
> 続けてきましたが、音声ガイドの制作や普及、著作権等の問題を解決するには
> 一任意団体では限界があり、今般NPO法人を立ち上げました。
> (先般認証され、来月の事業開始を目指し、現在準備をしております。
>  HPが完成しましたら、またご案内させていただきます。)
> 
> その立場からも、音声ガイドを付与することがガイドラインに盛り込まれ、
> Web内の映像コンテンツに、音声ガイドが付けられることは、
> 大変望ましいことです。
> しかし、音声ガイドとはどのようなものなのか、どのように制作すればいいのか、
> 広く普及していない現在の段階では、レベル1として規定されることにより、
> そのWebユニットから、あえて映像コンテンツがはずされてしまうのでは、
> むしろ、音声ガイドの普及が妨げられてしまうのでは、と危惧しています。
> 
> 光の加入世帯も増加の一途をたどり、これからWeb内にも
> ますます映像コンテンツが増えてくると予想されます。
> 音声ガイドは、レベル2から規定し、レベルAA適合を目指した次なる目標とした方が、
> その普及に寄与し、映像コンテンツの一層のアクセシビリティ向上に
> つながるのではないかと考えますが、いかがでしょう。
> 
> 
> # これまで、「副音声」「音声解説」「状況説明」と、様々な表記がされていたのを、
>  「音声ガイド」と統一しようではないかと、話し合っていたところなのですが、
>  今回の翻訳にあたり、「音声ガイド」という表現をお使いいただき、
>  ありがとうございました。
> 
> 
> ----------------------------------------
>     小高  公聡   (Tomoaki  KODAKA)
>     E-mail:  koda@xxxxxxxxxxxxxxxx

<以下、署名>
-- 
株式会社インフォアクシア 
植木 真 <ueki@xxxxxxxxxxxxxx>

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