【WCAG2.0 】コメント用メ モ
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- Subject: 【WCAG2.0 】コメント用メ モ
- From: "d.fukagawa" <df@xxxxxxxxxxxxxxxxxx>
- Date: Wed, 10 May 2006 04:00:49 +0900
深川です。
研究会は大変勉強になりました。
参加できてよかったと思っています。
ありがとうございました。
当日も幾つか質問させていただきましたが、
あの場で発言を控えたもの、整理がついていなかったものなど
参考までに投稿させていただきます。
未だに整理しきれていない状態ではありますが、
これをベースに自動翻訳させて送るつもりです
(まず通じないと思いますが)。
●<1>大きな問題点と感じるところ
誰のためのものか?という質問もさせていただきましたが、
後述する「1」〜「3」は、いずれも
a)アクセシビリティを(よく)知らない人に対してどうなのか?
b)アクセシビリティが促進されるか?(ユーザーに恩恵があるのか)
c)WCAG2.0が普及するのか?
という観点で感じたことです。
ただ、WCAG2.0がどういう目的で作られているかによるので、
例えば、
・WCAG2.0を基に独自のガイドラインを作り
アクセシブルなサイトを作ってくれればよい
・WCAG2.0に適合するしないはどうでもよく、
アクセシブルなサイトを作る上で参考にしてくれればよい
のような目的だったりするのであれば、
いずれもどうでもいいところかもしれません。
◎1-1.アクセシブルにすることが難解になった
「アクセシブルにすることが難解になった」と書きましたが、
基本的なところは同じだと理解していますので、
既にある程度の理解がある人達にとっては理解しづらいだけで
実装手法自体が難解になったということはないように思います
(全て読んで理解出来ていないので推測です)。
あくまでも、
・アクセシビリティのアの字も知らない人が
果たしてこれを見ながらアクセシブルなサイトを作れるのか?
・また、アクセシビリティを知っていても理解が困難ではないか?
自分自身、これらのドキュメントや昨日の説明だけで
WCAG2.0に適合するものを作れる自信はないです。
という観点で「難解」だと感じた、ということです。
◎1-2.内容が抽象的になった
後述するベースライン共々、
広範囲かつ将来的に長くカバー出来ることを
目的としていると思っていますので、
そういう観点では仕方がないようにも思います。
その上で、「a」〜「c」と同様の観点で、
・抽象的なのでアクセシビリティに詳しくない、
技術に詳しくない人にとっては非常に難解では?(新語も多い)
・それが(そのサイトが)アクセシブルか、の前に、ひょっとすると
ベースラインの妥当性すら誰も正確に判断出来ないのでは?
そして、ベースラインに沿ったそのサイトがWCAG2.0に
適合しているかどうかの判断も、誰も出来ない可能性があるのでは?
つまり、ガイドラインとして機能するのか?
という心配があります。
◎1-3.ベースラインの問題
・新技術を使えない環境のユーザーの存在を無視して、
代替手段を用意せずにそれをアクセシブルだと認めるのは
WCAGとしていいのか?
・いろんな解釈や設定が出来てしまう可能性があるのでは?
ガイドラインとして機能しない可能性もあるのでは?
・誰がその妥当性を判断出来るのか?
誰がそのベースラインに対して適切な対応をしてると判断出来るのか?
・「技術ベース」のベースラインという概念は、
新しい技術を積極的に取り入れられるという面もあるのだと思います
が、
結果的に、いわゆるこれまでもあった「推奨環境」を作るだけでは?
・ベースラインという概念を使うことで、本当に広範囲かつ将来的に
長くカバー出来るようになるのか?
・AjaxやFlash、その他の技術をバリバリに使ったサイトを
本気でWCAG2.0に適合しようと思った場合、機能や表現はその
ままに
ちゃんと適合することが可能なのか?
Understandingのテクニックで十分なのか?
広範囲かつ将来的に長くカバー出来るようになるのかもしれませんが、
結局は詳細なドキュメントなどが必要になるような気がします。
●<2>追加して欲しいと思うところ
◎2-1.各ガイドラインと想定障害との関係(根拠)を示して
欲しい
・想定障害毎に特徴みたいなものを示してくれるとわかりやすいです。
・根拠があれば納得(理解)しやすくなると思います。
◎2-2.各ガイドラインと想定障害とのマッピングをして欲しい
・ユーザーをイメージしやすくなるので対応もしやすくなると思います。
・上記「2-1」とあわせてあると、特定の障害にちょっとシフ
トしたものを
作りたいとか、普通の人が誰かのためによくしたいと思うときにも
広く参考に出来てよいと思います。
●<3>上記問題に対する思いつきレベルのアイデア
上記で挙げた問題は、WCAG2.0が目指すところをわかっていない、
WCAG2.0を全て理解できていない、という前提での私的な感想や疑問な
ので、
的はずれもあるかと思います。
その上で、ですが、上記に挙げた問題の根本的なところは、
広範囲かつ将来的に長くカバー出来ることを前提に
・一つのガイドラインで対応しよう
・3つの適合レベルで対応しよう
というところにあるように思います。
個人的には、前述の「a」〜「b」の観点で言えば、
後追いでいいからJISのような形式でその都度新しい技術などに
対応した
情報を追加提供してくれるのが一番わかりやすいのではと感じています。
そもそも新しい技術を使うようなサイトは
アクセシビリティを考える余裕などない場合がほとんどだと思いますし。
ただ、アップデートの期間とか手間もあるので
思いつきレベルですが現状ベースで考えてみました。
◎3-1.適合レベルの見直し
例えAからAAAまでの3段階あったとしても
あくまでUnit丸ごとに対してWCAG2.0に適合しているかど
うか、
の2者択一でしかないので、それを見直す、ということです。
もう少し具体的に言うと、
「ベースラインで境界を引くのではなく」、
「特定の環境を必要とする技術が必要な場合は
ベースラインとして設定出来て、なおかつ、
ベースラインそれぞれに対して適合の可否を宣言出来る」
という形はどうかと思っています。
つまり、WCAG2.0に「完全適合」と宣言するには
(語弊がある言い回しですが)環境を特定するようなことは認めない、
ただし、個々の技術がアクセシブルならば
その部分が「一部適合している」と宣言することは出来る。
結局は推奨環境を作ることにはなるのですが、
WCAG2.0に「完全適合」とは言えないようにすることで、
多少はWCAG2.0の面子は保てるのかな、という気はします。
また、これならば、新しい技術を阻害することもなく、
それに対応しないユーザーがバッサリ除外されることもないかな、
という気もしますし、これならベースラインの妥当性も
現在ほど大きな問題にはならなくなるかな、とも思います。
もしくは、適時アップデートを前提に、
基本的なベースラインを設定し(一つもしくは複数)、
それに適合しないものは、その技術毎にアクセシブルかどうか、
判定させる、というのでもいいのかもしれません。
ただし、新しい技術を使ってアクセシブルにすることが
非常に困難を伴うものなのであれば(自分には測りかねますが)、
実際問題として新しい技術がベースラインに含まれることはなく、
このへんは杞憂かもしれません。
もっとシンプルにしてもいいのかもしれません。
◎3-2.テクニック部分をもう少しガイドラインに含められな
いか
現在の4つの原則から付随するガイドライン、
そしてUnderstandingやTechniquesというツリー構造は、
スマートかつ汎用的でとても優れていると思います。
ですので、この構造をいじるのには抵抗があるのですが、
一方でわかりにくさを生んでいると思います。
これもあまり具体的な対案ではないのですが、
制作・運営側の視点で考えると、
・テクニック部分をもう少しガイドラインに含められないか?
という希望があります。
もしくは、主に見せ方の問題ですが、
・この原則とガイドラインは普遍的にしつつ、技術単位で具体的な
実装方法のガイドラインを設けて組み合わせるように出来ないか?
ユーザーは、Unitに使われる技術を選択すると自動的に
それに基づいた実装レベルでのガイドライン(もしくはUnderstanding
などのテクニック系関連文書)がリストアップされる。
※ベースラインに近い考え方ですが、あくまでガイドラインの拡張性と
見る人のわかりやすさを考えたものです。
運営側が環境を特定するのに使うものではないです。
など、とにかくわかりやすく、参照しやすく出来ればと思います。
◎3-3.試験運用を設ける
稼働しないとわからない点が多いように感じます。
この手のものに「試験運用」が有効かはわかりませんが、
「試験運用」という言い方ではなくても、
訂正を視野に入れた形で実際にやるしかないような気がします。
◎3-4.協力サイトを募る
上記「3-2」とも関連しますが、新技術を使ったサイトを中心に
協力してくれるサイトを募り、実際に適合させる作業を通じて
問題点を洗い出してもらって改善する。
同時に、その事例をケーススタディとしても公開することで
適合サイトを作りたい人にわかりやすくする。
特定のサイトに協力を求めるのが無理なら
そういうサイトを作るしかないですが、
それは無理っぽいですね…
◇
以上、乱文にて失礼いたします。
以下署名--
ふかがわ