Re: ウェブコンテンツのアク セシビリティに関する日 本固有の問題の検討



渡辺です.

中根さん,早速のコメントをありがとうございます.


On Thu, 20 Nov 2003 16:51:00 +0900 Masafumi NAKANE <max@xxxxxxxxxxxxxxxxx> wrote:

> > ・記号文字の読み方の問題
> > 日本語の符号化文字集合は多数の記号文字(【】《》()『』「」■□○●◎★☆
> > ※▽△▲▼)を含んでいます.これらの文字は一種のアイコンのような役割を果
> > たしていて,見出しとして使われている場合などはその記号自体が意味を持って
> > います.しかしそうでない使われ方をする場合もあります.したがって,このよ
> > うな文字に対してスクリーンリーダーが最適な「読み」を与えることは困難です
> > ので,これらの文字の読み方をウェブコンテンツの中で与えておくべき場合があ
> > ると思われます.
> 
> 細かいことですが、「読み方」の前に、「意味」が明示されるのがあるべき姿
> だと思います。
> 
> > もらいたいですね.実現方法としては,HTMLの場合は(この方法が適切かどうか
> > は別として)abbrタグやacronymタグを流用するか文字の後にカッコつきで読み
> > を併記するか,XHTML1.1ならruby要素を利用することができると思います.
> 
> abbr, acronymを使うのは、 semanticsが違うものに流用することになるから
> 適切ではないと思います。厳密に言えば、 rubyも、 base text と ruby text
> の関連付けをする、だけの目的の要素のようですから (ruby annotation の使
> 用を読むとそう読めます) 、本来は ruby要素内に正しい読み方が書かれてい
> る、ということを前提にした音声レンダリングをすべきではないのだと思いま
> す。そういう意味では、現状の使用で正しく対応する方法は、カッコ内に記述
> する、という方法、あるいはその記述を特定の class属性をつけた span要素
> に入れることで、 visual rendering の際には無視される/ユーザが希望した
> ときだけ表示される、といったスタイルを適用する、というような形なのかな
> と思います。そういうことを考えると、「例」として特定の方法を推奨するこ
> ともあまり望ましくないのかなというようにも思います。

以上をさらに進めて,以下のように書き直しました.
つまり,こういう文字は使わないのが望ましいことを追加しました.

・記号文字の読み方の問題
日本語の符号化文字集合は多数の記号文字(【】《》■□○●◎★☆※▽△▲▼)
を含んでいます.これらの文字は一種のアイコンのような役割を果たしていて,
見出しとして使われている場合などはその記号自体が意味を持っています.(そ
うでない使われ方をする場合もあります.) このような記号文字に対してスクリー
ンリーダーが最適な「読み」を自動的に与えることは困難ですので,配慮が必要
です.これらの文字の意味(例;大見出しとして黒星★を,中見出しとして白星
☆を使っている)と適切な読み方を,コンテンツの中で与えておくべき場合があ
ると思われます.

以上のことは,日本語以外のウェブコンテンツにも適応できる注意点です.
WCAG2のWDにはGuideline3.2にabbreviationとacronymのことが指摘されています
が,どこか適切な箇所で,
「(全角記号など,)それが使われている意味や読み方がわからない文字(列)
の使用は最小限にとどめることが望ましい.使用せざるを得ない場合には,そこ
での意味と読み方(発音)がわかるような情報を追加することが望ましい.」
として取り入れてもらいたいですね.
残念ながらHTMLにもXHTMLにも,このような情報を付与するのに適した要素がな
いのが実情だと思います.文字の後にカッコつきで読みを併記するか,スタイル
シートを工夫して音声表示のときだけ情報が提示されるようにするしかないかも
しれません.そういう意味でも,「」のように共通の理解がある記号は別にして,
そのほかの全角記号のようなあいまいな表現で論理構造や文書の意味
(Semantics)を示すのは適切ではないと思います.


そのほかのコメントも取り入れました.

-- 
渡辺隆行(WATANABE Takayuki) <nabe@xxxxxxxxxxxxxx>
東京女子大学現代文化学部コミュニケーション学科