IBMのSocial Accessibility Project



中根です。

いろいろな IT系のニュースサイトなどに出ているのでご存じの方も多いとは
思いますが、 IBMが Social Accessibility Projectというのを始めたようで
すね。

Internet Watchの記事は以下です:

日本IBM、視覚障碍者のWebアクセシビリティを促進する試み開始
    http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/07/08/20186.html

面白そうなので早速 (というほど早速でもありませんでしたが) プロジェクト
のページにアクセスしてみました。

記事にもありますが、このプロジェクト、スクリーン・リーダのユーザが IBM
が提供するソフトウェアをインストールすることで、問題があるページをレポ
ートできるようになるそうです。レポートはプロジェクトのサーバに集約され、
 supporterと呼ばれる人たちがそのレポートに基づいて必要な情報を入力し、
やはりサーバに蓄積すると、その後ユーザが同じページにアクセスした時には、
 supporterが入力した情報がスクリーン・リーダによって読み上げられる、と
いう仕組みのようです。 (annotationっぽい話ですね。)

具体的にどのような情報に対応できるかというと、

* 画像の altの追加
* イメージマップの altの追加
* フォームのラベルの追加
* iframeへのタイトルの追加
* ページ上の場所を指定して、スクリーン・リーダにのみ認識できるコメント
  を挿入
* ページ上の要素を見出しとして指定
* スクリーン・リーダにのみ認識可能な見出しの挿入
* 見出しになっている要素を見出しとして扱わなくする
* ページ上の場所を指定して、landmarkを設定

landmarkというのは、重要なボタンなどに印をつけておくことで、ユーザが容
易にその印の位置にジャンプすることを可能にする機能だそうです。 (JAWS的
に言うと place markerですね。)

ということがプロジェクトの FAQに書かれていました。

ちなみにこの FAQのページ、一つも見出しがなく、アクセシビリティ関連の話
をしているサイトにしては使いづらいページでした。そこで、早速このページ
を「問題のあるページ」としてレポートしてみようと思ったのですが、配布さ
れているソフトウェアは、現在日本語版 JAWS 8、英語版 JAWS 9にのみ対応し
ているということで、、 JAWS 7 ユーザの私はお呼びでなかったようであきら
めました。

ということで使えなかったので何とも言えない部分もありますが、取り組みと
しては面白いなと思いました。ただ、自分の経験から考えるに、他人の力を借
りてまで確実にページの内容を理解したいと思わされるページというのは、自
分の IDでログインしないと見られない、たとえばショッピングサイトや金融
サービスのページであることが多いような気がするので、私自身はあまり使わ
ないかもしれないなという印象を受けました。

また、 FAQによれば、一度 supporterが情報を付加したページであってもレイ
アウトなどが変われば情報が不正確になるということなので (当然と言えばそ
うなのですが) 、本当に誰かに見てもらいたいことが多い動的なサイトには使
えないのだとも思います。 (少なくとも現時点では。)

ちなみにレポートされたサイトはプロジェクトのページで一覧表示されている
ので、問題が多いサイトのリストを得る良いリソースになりそうです。つまり、
公共性の高いサイトでこの一覧の上位に入るようではどうしようもない、とい
うことがきっと言えるでしょう。

いずれにしても、取り組みとしては面白いですし、今後の発展次第では実際に
便利になるのではないかと思います。とりあえず、より多くのスクリーン・リ
ーダへの対応と、プロジェクト・ページの日本語化がされないと日本のユーザ
はさほど救われないとは思いますが。

中根雅文