Re: 製品開発について



ラプラス取説研究所の高山と申します。
はじめまして。

NAPのMLには昨年から参加させていただいていたのですが、
ご挨拶するうまい機会もなく、ただROMさせていただいて
おりました。

製品仕様の策定ということに関しては少し思うところがあ
りますので、発言させてください。

At 0:18 AM +0900 1999.3.12, Hideji Wakabayashi wrote:
> なかなかアクセシビリティの考慮されたものが出てこない現状に対して
> 今やるべきこととして、ひとつはエンジニアリングの分野では
> ニーズのつぼを押さえた設計手法の確立でしょう。
> これは障害者用だから特別な設計手法が必要というわけでなく、
> 情報機器のみならず、すべてのモノを作るときに必要なものでしょう。
> もうひとつは、それらを支えて維持していくための仕組み作りでしょう。
> 開発コストの分担や標準化などをどう進めていくか考えていく必要がありそうです。

実際の商品設計の流れを見ていると、要求仕様(機能)の
確定→原理試作→α→βという流れになるかと思います。
本来、原理試作段階の前にインターフェース設計(外部仕
様の策定)をしっかりやって原理試作段階でUIの基本評価
をすべきなのに、実際はそういうプロセスを踏んでいない
ところに問題があるような気がします。
つまり、原理試作が「基本コンポーネントが動作するかど
うかを確認する」というだけの意義しか持たなくなってし
まい、UIは(言葉は悪いですが)後からでっちあげて、か
ぶせてしまえばOKという意識が現場には根強いのではない
でしょうか。

アクセシビリティに配慮した操作仕様をじっくり構築して
から実装に入るというプロセスを踏まない限り、商品化の
過程でいくら外部の意見を取り入れても、所詮は小手先芸
にとどまってしまうように思えます。
本当に改善すべきなのは、葉の部分ではなく幹の部分だと
思いますし、この部分はやはりUI設計のプロが評価する必
要があるのではないかと思います。


外部の意見を取り入れるのであるならば、以下の3段階を
チェックを設けるのはいかがでしょう?

0.企画段階での考察
 実際のターゲットユーザーに既存バージョン/参考商品
 (競合他社商品?)を操作してもらい、操作仕様の感想
 を収集する→要求仕様、外部仕様策定に生かす。

1.仕様書段階での評価
 UI設計のエキスパートに仕様書/原理試作段階での仕様
 評価を依頼する→原理試作時に対策を盛り込む。
 ターゲットユーザーに近いプロフィールを持った方を見
 つけられればベストでしょう。

2.原理試作またはα段階での評価
 実際のターゲットユーザーに使ってもらい、操作感を確
 認する→不具合は対策する。


個人的な意見ですが、この中では1.を最重要視すべきだと
思います。0.や2.に関してはたとえ体系的な評価をする機
会がなくとも、何人かの方に個別で評価していただくこと
は可能でしょうし、(池田さんのおっしゃるように)自分
たちである程度体験してみることもできます。
しかしプロの評価に関しては、そういった機会を自分たち
で設けないかぎり、絶対に聞くことはできません。


少しNAPの話題からずれてしまったかもしれません。
長文におつきあい頂き、どうもありがとうございました。


今後ともよろしくお願いいたします。

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  高山 和也
  ラプラス取説研究所
  インフォメーション・アーキテクト
  http://www.laplace-lab.com/
  E-mail: kazuya@xxxxxxxxxxxxxxx
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