JIS素案



中根です。

どうやらメーリング・リストの配送も問題ないようですし、 Web上のアーカイ
ブの生成もうまく行っているようなのでとりあえず安心しています。なお、アー
カイブは 30分に一度程度更新されます。

さて、それはそうと JISの素案に関して、素案本文を読みながらとったメモを
以下につけてみます。文章のおかしいところとか、そういう本質的でない指摘
の方が多いような内容ですが、とりあえず1回読んで気づいた点です。何か私
の方が勘違いしていたりなどという点にお気づきの方がいらっしゃったらぜひ
ご指摘ください。また、他にも何かご意見などあればぜひお願いします。

もう何度か読んで、細かい点ではなく、全体を見渡してみる必要があると考え
ています。その後、メモを更新してこちらにも流したいと思います。

以下、メモです。

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4. 定義

非テキスト情報: 「文字以外のウェブコンテンツ。画像,音声,動画等のマー
   クアップされたもの。」とされているが、適切にマークアップされている
   もの、たとえば適切にSVGでマークアップされた画像情報はアクセシビリティ
   を向上させる効果の方が大きいのではないか。問題となるのは、マークアッ
   プがされていない情報で、たとえば JPEG画像に代替情報が付加されていな
   いような場合である。その意味からも、ここで「マークアップされたもの」
   であるかどうかは重要ではなく、「マークアップされたもの」に限定して
   しまうことで、本規格の適用対象を狭める結果となりかねない。したがっ
   て、「非テキスト情報」の定義は、「文字以外のウェブコンテンツ。画像,
   音声,動画等。」とするのが妥当であると考える。

5.1 基本方針

b):

* 「ウェブウェブブラウザとバージョンで操作・利用できるように」とあるの
   は、「ウェブブラウザとバージョンで操作・利用できるように」の誤記で
   あると考えられる。

* このような記述をすることで、古いバージョンのブラウザのサポートと称し
    て、全てのブラウザおよびそのバージョンで、なるべく同じ見た目を実現
    するためのあらゆる方法を用いることを推奨しているものと誤解されるこ
    とが懸念される。6.1 a) 【参考】 を読めば誤解であることは明らかであ
    るが、重要なことは、情報の取得が可能であること、操作が可能であるこ
    とで、見た目を同じにすることが必ずしも重要ではないことを強調するた
    めの記述を、参考などの形で付記されることが望ましいと考える。


6.1 規格や仕様の準拠

a) 【参考】: 「…文法,規格や仕様が正しく書かれていないと支援技術が正
   しく動作しなかったり,…」とあるが、正確には「…文法,規格や仕様に
   従って正しく書かれていないと支援技術が正しく動作しなかったり,…」
   ではないか。

b) 【例】: 
* 「コンテンツにJavaを埋め込む場合には,…」とあるが、「Java アプレッ
   ト」とするのが正確かつ適切なのではないか。

* 「…用意されているアクセシビリティ機能を適切に実装する。」とあるが、
  実際には「用意されているアクセシビリティ機能を適切に用いたプログラム
  の実装をする。」が正確なのではないか。

6.2 構造と表現

a) 【例】: 「…見出し要素を用いて表現する。」とあるが、「見出し要素」
   という要素が存在する訳ではないことが一般的であるから、「見出しを記
   述するための要素」とするべきである。あるいは、「HTMLの h1, h2, h3,
   h4, h5, h6のような、見出しを記述するための要素」のようにする方が、
   具体的で分かりやすいかもしれない。

b): 「加えて,スタイルシートを使用する場合は,未対応のウェブブラウザで
   も利用可能にする。」とあるが、目的語がないため意図が不明確である。
   「利用可能」ではなく、「コンテンツの理解を阻害しない」などの表現の
   方が適切ではないか。

d) 【例3】: 「…構造を表す属性などを付ける。」とあるが、「…適切な属性
   などを用いてセル間の関連など、構造を明示する。」などとした方が分か
   りやすいのではないか。

e) 【参考】: 「音声ブラウザは最初にページのタイトル情報を読み上げる。」
   とあるが、利用しているブラウザによって、または設定によって異なる可
   能性があるので、「多くの音声ブラウザでは…」などとするのが適切であ
   る。

e) 【例】: 「HTMLの場合は head要素のtitle属性にページ固有名称をつける。」
   とあるが、「head要素内の title要素」または、単に「title要素」とする
   のが正確である。 (ページのタイトルは、 title 属性ではなく、 title要
   素を用いて記述する。参考: HTML 4.01 Specification 7.4.2節、
   http://www.w3.org/TR/html40/struct/global.html#edef-TITLE)

f): フレームは、 HTMLに固有の手法であり、本規格の汎用性を維持する上で、
   このような形で記述することが望ましいかどうかという点について、検討
   が必要ではないか。ここでは、フレームがもたらしうる問題点を検討し、
   それを発生させないことを推奨する文章とし、参考や例として HTMLのフレー
   ムについて触れるのが望ましいのではないか。

f) 【参考】:

   * 「音声ブラウザでは,フレームを別々のページとして認識し動作するの
     で,…」とあるが、これはブラウザによっては正しくない。 (例: JAWS
     for Windows と Internet Explorer の組み合わせでは、全てのフレーム
     をまとめて一つのページのように扱う。) よって、「音声ブラウザによっ
     ては…」などとするのが適当である。

    * 「…タイトルや広告のためだけにフレームをつけるなど,…」とあるが、
      ここに、レイアウトのために用いる中身が空白のフレームも例として加
      えてはどうか。また、「フレームを付ける」という表現はおかしいので
      はないか。

f) 【例2】: 「各ページの title要素に,内容にあったタイトルを入れる。」
   とあるが、「フレーム中の各ページの…」とした方が、正確かつ分かりや
   すいのではないか。


6.3 操作や入力

b) 【例4】: 「ラベル(名称) とチェックボックス等のコントロールを関連づ
   けることで,ラベル部分をクリックしても,コントロールを選択できるよ
   うになる。」とあるが、このことによって、音声ブラウザなどのユーザも、
   入力が求められている情報がなにかを的確に知ることができることにつな
   がることが考えられるので、その点についても明記した方がよいのではな
   いか。

c) 【参考】: 「…支援技術を使って入力作業をするため時間がかかる。」と
   あるが、視覚障害者の場合は、支援技術を用いて、入力に必要な情報の確
   認など、ページの内容を確認する部分により時間がかかる場合が多い。よっ
   て、「…支援技術を用いて入力作業やそれに先立つページ内容の確認作業
   を行うため…」などとするのが適切である。

d) 【参考】: 同上

f) 【例1】: 「…同じ形状・色・配置を統一する。」とあるのは、「…同じ
   形状・色・配置に統一する。」、または「…形状・色・配置を統一する。」
   の誤記ではないか。

f) 【例2】: 同上

6.5 色や形

a): 何らかの例が必要ではないか。

b): 同上


6.7 音

a) および b): 視覚障害者が音声環境を利用している場合、ウェブ・コンテン
   ツに含まれる音声情報によって、音声ブラウザなどの出力する音声を聞き
   取れないようなこともある。このような問題を会費するためにも、この 2
   項目はきわめて重要である。このような問題が存在することを、参考とし
   て明記すべきである。
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中根雅文