Fw: [members 00074] <ALAGIN からのお知らせ>日本版フェアユー スに関するパブリックコメントについて のご案内



皆様

市川@早稲田です。

下記に様なメールが送られてきました。

6月24日正午締切でいわゆる日本版フェアユースに関するパブリックコメントが
募集されております。(下記、文化庁のサイトをご覧ください。)




----- Original Message ----- From: "Chihiro TAKEDA" <chihiro.takeda@xxxxxxxxx>
To: <members@xxxxxxxxx>
Cc: <info@xxxxxxxxx>
Sent: Monday, June 14, 2010 7:07 PM
Subject: [members 00074] <ALAGINからのお知らせ>日本版フェアユースに関するパブリックコメントについてのご案内


高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)会員の皆様

ALAGIN会員の皆様にはご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素はALAGIN活動にご理解、ご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。

さて、情報通信研究機構 言語基盤グループ鳥澤グループリーダより、
「日本版フェアユースに関するパブリックコメントについて」のご案内を
いただきましたので、皆様にお送りします。

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日本版フェアユースに関するパブリックコメントについて

ALAGIN会員の皆様、

情報通信研究機構言語基盤グループの鳥澤と申します。

6月24日正午締切でいわゆる日本版フェアユースに関するパブリックコメントが
募集されております。(下記、文化庁のサイトをご覧ください。)

これが適切に導入されますと、新規なWeb、言語関連サービスの研究開発、提供が
非常に円滑に薦められるようになる可能性もあります。関連の深い研究をされて
おられる方は文化庁までコメントをお寄せいただければ幸いです。

http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2010/tyosakuken_iinkai_ikenbosyu.html

なお、6月16日に東京にて開催されますALAGINシンポジウムでは、文化庁において フェアユース導入をご担当されている方に直接ご講演をいただきます。もしこうした
動きにご興味がおありの方は是非シンポジウムにご参加いただければ幸いです。

http://alagin.jp/event.html#22616
(一応、上記ページでは申込締切を過ぎておりますが、まだ、参加申し込みは
 受け付けております。)

以下では、ご参考までにWeb、言語処理関連の研究開発の促進と日本版フェアユース
の関係について私見を述べさせていただきます。一応、弁護士には確認をして
もらっておりますが、あくまで私見に過ぎず、このようなパブリックコメントを
書いてください、というような話では一切ございません。しかしながら、万が一
パブリックコメントを書かれるのであれば、賛成、反対を含めましてご参考にして
いただけましたら幸いです。

前提といたしまして、上述の文化庁のWebページにあります文書によりますと、今後、
導入される可能性のある「権利制限の一般規定」(つまり、日本版フェアユース)
の案として、著作物の利用の類型A、B、Cに関するものが提案されております。
以下ではこれに関連して3点のポイントについて述べさせていただきます。

1. 言語関連のWebサービス等で重要なのは、以下の類型Cです。なお、A、B、Cのうち 実際にどれに関して法律化されるかは全く未知でありまして、パブリックコメントに おいて、必要な類型に賛成の意見を出していただくことが効果的であると考えます。

類型C 著作物の種類及び用途並びにその利用の目的及び態様に照らして、当該著作物
の表現を知覚することを通じてこれを享受(視る、聴く等)するための利用とは評価
されない利用
例)・技術の開発や検証のために、著作物を素材として利用する利用
  ・ネットワーク上で複製等を不可避的に伴う情報ネットワーク産業のサービス
   開発・提供行為

この類型Cに関してフェアユースが導入されるということは、ここに書かれている
「これを享受するための利用とは評価されない利用」に関しては著作権の侵害とは
見なさないというような法律が作られるということであります。

現状の我々の問題意識から申し上げますと、現行の著作権法では、例えば、いわゆる
「情報解析」のためにWeb上の情報をクロールし、その内容を改変することなどは
認められています。ただし、最終的な目的が「情報解析」のためであったとしても、

I.  クロールされた文書を含むアーカイブを第三者に提供する
II. クロールされた文書中にある文書を一定以上の長さ(例えば「文」「パラグラ
   フ」)以上で切り出して、それに注釈を加えコーパス、テキストデータベース
   として、第三者に向けて公開、提供する

に関してはOKなのかどうかについては明文化されておらず、不安がございます。特に I は研究者、もしくは企業間でWebアーカイブを共有することを難しくし、研究開発
の重複が生じることになります。また、IIについては、構文解析や、テキストマイ
ニング、機械翻訳で精度向上に必要なtreebankや、さまざまな意味的なタグを付与
したテキストマイニング用コーパス、対訳コーパスなどでWebオリジンなものを公開、
共有して研究を加速することの障害になります。今後、構文解析や機械翻訳では
Web関連文書を処理するニーズがますます高まり、Webオリジンのコーパスのニーズは
高まるものと考えられますが、現行著作権法は、そうした処理の性能改善の大きな障害
となるわけです。

ここで類型Cが出てくる訳ですが、I、IIで提供するアーカイブ、コーパスがあくまで
機械翻訳等のサービスで機械学習の入力として使われるのであれば、本来、「当該
著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受するための利用とは評価されない」
可能性が高くなり、結果として、I、IIが合法的となる可能性が高まります。
従いまして、言語処理研究の効率化を図る上では、上記類型Cを法律化していただく ことが非常に望ましくなります。もし、この観点、方針に賛成の方がいらっしゃれば、

「研究開発の促進のため、Web上のデータそのものや、情報解析向けに加工した
 データベース、コーパスを情報解析目的で研究機関、企業等で共有可能とすべく、
 類型Cの線に沿った一般規定の法律化を要望する」

といったようなコメントを出すのがよろしいかと思います。上記のような意見に
ご反対の場合も含めまして、万が一にも、こうした点も含めてご留意いただき、
コメントをご検討いただけましたら幸いです。


2. なお、類型Cに沿った法律が出来るにしても、現行著作権法と新しくできる法律
の条文がどのように整合するのかが現状ではよくわかりません。第47条の六、七
において、いわゆる検索エンジンと情報解析のためのWeb文書のクロール、活用が
合法化されたわけですが、現状の条文では今ひとつよくわからない部分があります。
(第47条の六、七に関しては、以下のサイトでご覧ください。)

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_horitsu_jouhun.pdf

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

例えば、第47条の六では、”…検索し、およびその結果を提供することを業として
行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能かされた情報の収集、整理、
および提供を政令で定める基準に従って行う者に限る。)"は検索エンジンを提供して
良いといった文面がありますが、具体的に今後なんらかの政令が定められるのか否かの
情報がなく、専門家の間でも意見が割れているとの話も耳にいたします。

また、第47条の七の情報解析に関しましても、いわゆる「情報解析」の定義が曖昧
であるという問題があります。

仮に類型Cが法律化されるのであれば、こうした問題に対して明確な答えを含むような
法律化が望ましいですし、また、類型Cが法律化されないとしても、現行著作権法に
おいてこうした不明瞭な点については明快な解釈を要望したいところです。

この点につきましても、そうした意見もあるということをご考慮の上、コメントを
ご検討いただければ幸いに存じます。

3. なお、フェアユースの他の類型に関して述べますと、類型Aはいわゆる「写り込み」
を念頭に考えられた案で、画像系のサービスをお考えの方はご検討いただいた方が
よろしいのではないかと思います。(具体的な検討は我々もおこなっておりません。)
また、類型Bについては、音楽、漫画等、きわめて創作性が高く、また、商業価値の高い
データの複製に関するもので、これについても我々は検討をおこなっておりません。 音楽関係の研究、サービスを行っておられる方々にご検討いただければと思います。

一応、類型A、Bは以下のようになっております。

類型A その著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い付随的に生ずる
    当該著作物の利用であり、その利用が質的または量的に社会通念上軽微
    であると評価できるもの
    例)写真や映像の撮影に伴ういわゆる「写り込み」

類型B 適法な著作物の利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる
    当該著作物の利用であり、かつ、その利用が質的又は量的に社会通念上軽微
    であると評価できるもの
    例)・CDへの録音許諾を得た場合におけるマスターテープ等中間過程での複製
      ・漫画のキャラクターの商品化を企画し、著作権者に許諾を得るにあたって
       必要となる企画書等における当該漫画の複製

以上、長くなりましたが、万が一ご検討いただければ幸いに存じます。

鳥澤健太郎
情報通信研究機構

以上

2010/06/14
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高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN) 事務局
http://www.alagin.jp/
(担当:武田)