Re: 音声ウェブ環境を考える
- To: nap@xxxxxxxxxxxxxxxxx
- Subject: Re: 音声ウェブ環境を考える
- From: Masafumi NAKANE <max@xxxxxxxxxx>
- Date: Wed, 10 Jul 2002 15:41:30 +0900
- X-pgp-fingerprint: EB40 BCAB 4CE5 0764 9942 378C 9596 159E CE35 6B59
中根です。
どうやら興味を持ってくださる方が多いようですので、久々にちょっとした集
まりを持つことになりそうですね。内用など、このメーリングリストでみなさ
んにも意見を出していただきつつ考えていきたいと思います。
On Tue, 9 Jul 2002 19:21:05 +0900,
Hiroyuki Ochiai wrote:
> > 1. 音声が読み上げてくれればアクセシビリティが確保されていると考える風
> > 潮があるが、実際にはそんな単純なものではないだろう。
>
> そうですね。全盲の方も弱視の方もおられますので、
> 全面的に音声に頼らなくてもよい部分もあると思います。
弱視のユーザのことを考えると、さらに話は複雑で、その人の目の様子によっ
て音声で提供された方が便利な情報と、必ずしもそうではない情報というのも
あると思います。そういう細かい調整をできる環境というのは、私が知る限り
存在していないでしょうから、今後弱視のユーザや、視力が衰えてきている高
齢のユーザについて考える上では、これまでの全盲を中心として考えられてき
た視覚障害者向けインタフェースよりも、さらに深く考える必要がありますね。
一方、全盲のユーザのことだけを考えても、現状ではまだまだだという気がし
ます。ちゃんと音声化できるページでも、読み上げられ方によって正しく情報
が伝わらない場合などは、比較的多く見られるのではないでしょうか。また、
闇雲に alt属性を指定して満足してしまう人もいて、作者の考えに反して実際
には全く役に立たない情報が読み上げられてしまうケースも多いと思います。
ページを作る時に、いったいどうすればそういう問題 (altの話はまあ極端な
例ですが) を回避できるのかということも考えたいなと思っています。
> > 2. 音声環境 (や点字環境) にもいろいろあるが、同じページを見ても使って
> > いる環境でユーザが全く違う印象を受けることが少なからずあるような気
> > がする。
>
> スクリーンリーダーやWeb音声化ソフトによっても読み上げ方が異なると聞いています。
> W3CのガイドラインはWebの作り手に対して発せられたものと認識していますが、
> 音声化ソフトの方も標準化すべく働きかけはされておられるのでしょうか?
私は W3Cを離れてしばらくたちますのであまり正確ではないかもしれませんが、
W3C (の WAI) の取り組みの中には、 User Agent Guidelines というガイドラ
インの策定というのもあります。これは、ブラウザなど、ユーザ・エージェン
トの設計に当たってアクセシビリティを高めるために必要となる事項をまとめ
たものです。この文書の最近の動向をよく知らないのですが、基本的にはブラ
ウザがスクリーン・リーダに対して音声化、点字化に必要な情報を提供できる
APIを実装するように、というような内用も入っていると思います。
ただ、最近の英語版のスクリーンリーダーの状況を見ると、 Webページの内用
をユーザに対して提示する部分は、スクリーン・リーダが実装しているケース
が多いようなので、どこまでガイドラインでカバーするかというのは、なかな
か難しい問題なのかもしれません。
> > 3. いずれの場合も、ページの作り方に問題がある場合もあるし、ブラウザの
> > ユーザ・インタフェースに問題がある場合もあるし、さらにはユーザの知
> > 識不足が問題になりうる場合もあるから、その点の切り分けをしなければ、
> > 適切な問題点の指摘や改善提案/要求は難しいだろう。
>
> おっしゃる通りだと考えます。コンテンツ、ユーザインタフェース、そしてユーザー
> のスキルが絡まりあっている問題であり、それぞれは不可分ですね。
> 特に、Webのバリアフリー化が発展途上の今日の状況では、既存のコンテンツを
> 既存のユーザインターフェースで読む場合のユーザー側の訓練のノウハウが必要な
> 段階であると思います。
ユーザは個々に能力や経験が異なり、同じコンテンツとブラウザ/スクリーン
リーダーの組み合わせでも、人によって情報取得がどれだけ円滑にできるか、
あるいはどれだけ正確にできるかということが異なる、という部分が W3Cに欠
けている視点のような気がしています。もちろんそういう意識を持った人々も
ガイドライン策定には関わっていると思いますが、こういう部分は標準仕様に
はしにくいということはあるでしょうね。とは言うものの、たとえば「全盲の
ユーザには最低限こういう知識を持っていてもらわないと…」というようなも
のを示さないと、ものすごく詳細なガイドラインを作らないと、結局使えない
人が出てしまうのだという気が最近はしています。
中根雅文