(nap)



(株)富士通中部システムズ
渡辺儀一さま

市川@千葉大です。

小生の件吸湿に関心を持っていただき有り難うございます。
科研申請など雑用が重なり返事が遅れましたことをお許しください。

手話など聴覚障害者のコミュニケーション%メディアは音声とはコード系が異なり、簡易
なセンサや記号表記手段も未だ無いため、技術開発が難しいのが現実です。
小生のところでも未だ非力で、実用レベルには残念ながら至っていません。

聴覚障害関係に対しては次の2つの視点から各々検討しています。
(1) 手話通訳システムを現実的な方法で開発する。
(2) 日本手話の解析に技術面から寄与する
なお、元々の専門である音声認識に対しては、実用には話し言葉を処理できないとだめだ
と痛感していますので、これに付いてはかなり基礎的技術の開発を念頭において進めてい
ます。

まず(1)に関しては、方針として
ア.利用場面を限定する。
イ. PC程度のもので対応できる軽い処理を目指す(現場で購入できる経済性)。
ウ.非線型時間軸マッチング法など音声認識技術を活用する。
具体的には
エ.100〜200概念程度の世界(医療現場、役所の窓口程度)
    問題は同じ概念を違う手話表現で行った場合や、方言をどうするかです。
オ.手の対極的動きを中心に扱い、指の細かな動作は無視する。
カ.目標認識率は80%台?(出来ないものは筆記で補う)。
2年後くらいには試作システムを動かしたいと思っています。学生が主体なので、卒業な
どで毎年担当者が入れ替わり、なかなか積みあがっていかないのが大学の難点です。

(2) については、日本手話の文法などが未だあまり解っていない(対話音声も実はその
文法などは同じくほとんど解っていないといって良いと思います)点に注目し、手話学研
究者の研究ツールとして、技術者の立場から役立つものを提供して行きたいということで
す。研究者は言語学者など文系の方が多いと思いますので、やはりPC程度のもので実現
できる方法を出来るだけ採りたいと考えて進めています。
具体的には、
イ. 電子化手話データベースの作成(電子情報通信学会手話工学研究会での活動。神田手
話学会会長などとの共同研究)
対話音声コーパスを開発した経験を活かし、手話を文字レベルの記号で表記する方式の開
発と、それによる手話動画へのタグ付けしたものをCD−ROMなどで実現すること。さし
あたり200例文程度を2年間程度で試作したいと考えています。記述法が上手く行けば文
法を作るための基礎データとして活用できるのではと考えています。
ロ. 手話動作の解析ツール
非手指動作や、手話表現のリズム解析などを工学的手段で行う手法の開発を進めています。

いろいろご意見をいただければ幸いです。

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市川 熹

千葉大学  教授
大学院自然科学研究科情報科学専攻
工学部情報画像工学科
263千葉市稲毛区弥生町1−33
tel : (043) 290 - 3256(直通)
Fax : (043) 290 - 3269  (事務室)
e-mail : ichikawa@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
http://Bach.icsd4.tj.chiba-u.ac.jp/staff/ichikawa/profile.html

ICHIKAWA  Akira, Ph.D.
Professor
Graduate School of Science and Technology
Department of Information and Computer Sciences,
Faculty of Engineering,
CHIBA UNIVERSITY
1-33, Yayoi-cho, Inage-ku, Chiba,Chiba 263, JAPAN

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